ロンド・ファン・フランデレンは佳境を迎えていた。
残り16キロ地点、オウデグワレモントで点火した輪聖カンチェさんに追随出来たのはファンマルク(ベルキン)のみ。
ファンマルクは昨年のパリ・ルーベで、カンチェさんの輪聖技「オービダー・フライバイ」によって道路脇の畑に吹き飛ばされて以来、ただひたすら輪聖の首を獲る事だけを目標に鍛錬を重ねてきた。
一人でカンチェさんに立ち向かえば、またテレビカメラの死角で輪聖技により消される。
ファンマルクは巧みにペースを調整し、援軍であるファンアフェルマート (BMC)、ファンデルベルフ(OPQ)を迎え入れ、ここに輪聖包囲網が完成した。
三人は前夜、カフェ・コッペンベルフで対輪聖共闘の密約を交わしていたのだ。
後の世に言う「ファンファーズの誓い」である。
ファンアフェルマート「イケるぞ!カンチェさんに去年までの化け物が乗り移ったような強さはねぇ。」
ファンマルク「落ち着け!相手は輪聖だ。完全に首を切って動きが止まるまで安心は出来ない」
ファンデンベルフ「どうする?」
ファンマルク「カンチェさんは化け物じみた強さもあるが、意外と三味線野郎で器も小さい。のらりくらりと脚を使わないで100円貯金をするのが奴の常套手段だ。あのトレックのトップチューブを見ろ!
<小さな事からコツコツと>という奴のヴィジョンが書いてある」
ファンデンベルフ「ちきしょうっ!イケメンで金持ちで輪聖のくせにその上狡猾さまで持ちやがって!」
ファンマルク「俺達、持たざるものにはそれなりの戦い方があるって事さ。いいか....(ゴニョゴニョ)」
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カンチェ「私に何か用か?ファンファン1号。」
ファンマルク「"ファンファーズ"ですぅ、ファビアン」
カンチェ「笑止っ!そのような些末な違いは輪聖の威光の前に無力。要件を言うがいい」
ファンマルク「輪聖様のようなイペル・スキル(輪聖技)がないおれらパンピー、もう脚がいっぱいできっついんすわ、ほら、こんな感じで」
ファンデンベルフ「痛ぇぇぇっ!脚が釣ったぁぁぁ!」
ファンアフェルマート「オリビア、ごめん、君と子供の顔はもう見る事が出来そうもないよ...」
ファンマルク「このままだと逃げのペースは上がらず、必死で追いかけてくるトムとサガンの追走に喰われちまいますよ?それだとカンチェさんも困るでしょ?」
カンチェ「私が天然だという噂を聞いて騙そうとしているようだが、そうはいかんぞ、ファンファン1号。昨晩は「ムーミン谷の冬」を読了したこの輪聖、そんな適当な嘘では誤魔化す事は出来ぬ」
ファンマルク「そんなつもりは毛頭ございません!ここにいるファンファン三人、輪聖様と志は一緒!ここは一つ、我ら凡人の貧脚をカンチェさんの輪聖技(イペル・スキル)で補ってくだせぇ!なぁ、みんな!」
ファンファーズ:
「ファビアンの!!」
(手拍子)""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*""ハ(゜▽゜*))
「ちょっといいとこ見てみたいっ!!!」
(手拍子) ""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)
「それ!輪聖!輪聖!輪聖!輪聖!」
(手拍子)""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)
カンチェ「ついて来るがよい!若輩のファンファン共!」
三人「ファンファーズですぅ~」
カンチェ「カンチェ秘奥義 <十戒>!!」
Grrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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ファンアフェルマート「すげぇ!オウデトワレモントの石畳が輪圧で海のようにめくれ上がるぞ!」
ファンデンベルフ「奇跡だ!奇跡だ!」
ファンマルク「まるでサーキットのように走りやすいぜ!さすがカンチェさん!」
(フランドルのコースを破壊し尽くしながらカンチェさんの突進は続き、いよいよフラムルージュ通過)
ファンアフェルマート「見ろ!さすがにカンチェさんの顔に疲れが出ているぜ!」
ファンデンベルフ「狙い通りだっ!無駄に張り切って鬼引きしたからもう奴には体力は残ってねぇ!」
ファンマルク「オイラが試しに仕掛けてみたが、カンチェの野郎、もう脚がいっぱいだぜ!反応出来ねぇ!」
ファンファーズ「輪聖の時代は終わり、俺達ファンファーズの時代の夜明けだぜ!!!!」
ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)""ハ(゜▽゜*)
ファンマルク「よし、ファンファーズ三人のスプリントで正々堂々と勝負だ!」
ファンファーズ「あばよ!ファビアン!お先にしつぉahOdHの意Hいえでゃおいてゃでょほどy!」
(へし折れたフレームと共に吹き飛ぶ黒焦げのファンファーズ達)
カンチェ「カンチェ秘奥義....インフェルノ・ナパーム(指先からの火炎放射)」
(ファンファーズ連合、ゴールを目前に消し炭のように崩壊!!優勝は、今年も輪聖、ファビアン・カンチェラーラですっ!)
ファンアフェルマート「なぁ...」
ファンデンベルフ「あぁ..」
ファンマルク「俺達、どこで失敗したんだろう???」
鏡「よう、ファンファン共。ご苦労さん」
(エナジーバーを咥えながら)
「まぁ、あいつを喰えるのは、やっぱりこの俺様しかいないだろうな...」
インタビュアー「ファビアン、ロンド連覇の感想は?」
カンチェ「....この季節のフランドル、空気がまろやかだと思わんか? フランドルのポディウムで嗅ぐナパームの香りは最高だ。」
こうしてまた一つ、石畳に伝説が生まれた....。