2014年12月12日金曜日

[翻訳] Letters of Note :若い自分への手紙 <マンディー・ジョーンズの場合> Rouleur ISSUE 50

  マンディ・ビショップ(旧姓ジョーンズ)は1982年にグッドウッドで開催された女子ロード世界選手権でアルカンシエルを獲得した。彼女は20年間に渡り英国のTT界に君臨し続けた女王、ベリル・バートンを最初に破った選手でもある。絶頂期にあった彼女のキャリアは、故障により急速にその輝きを失ってしまった。彼女は今、オールドハムのスローサ・サイクルで走っている。





 マンディへ

 あのグッドウッドの世界選からもう30年も経っているのね! ぞっとしちゃう。
 あの時代、もし私がなにか別の方法を試していたら...いや!そんな事なんてない。私はいつも完璧だった! でも残念ながらトレーニングに関しては試行錯誤の時があったわね。私が教えられてきた美学「ペダルを踏め踏め、もっともっとだ!」主義のせいでね。
 嬉しい事に、どんな厳しいトレーニングや流した涙も、アルカンシエルを身に纏った事で報われたわ。でもその幸せはほんの些細な事で崩れてしまった。

 悔いが残るのはクロス・トレーニングを試みなかった事。ストレッチ、そしてコア・トレーニング。もしも、当時の私がその大切さに気がついていたら、後になって私のキャリアを終わらせた、あのふくらはぎの断裂と背筋のダメージを防ぐ事が出来たかもしれないわね。

 あたなはいつも、今その瞬間を生きていた。次のレース、トレーニング、そしてあなたが最も欲しかった勝利 - 母国で開催される世界選手権でアルカンシエルに袖を通す事。でもその後はどうだった?あなたには、突然メディアに注目され、追い回されるという状況を助けてくれる人が必要だったの。数え切れないインタビュー、祝賀会、ディナーのお誘い、そういうもののあしらい方をね。
 もちろん全てのお誘いを受けられればそれは素敵でしょうけど、あなたにはそんな義務はないのよ。あなたはNOと言える勇気を持つべきだわ。負い目に感じる必要なんてない。だって、もしあなたが真剣に次のシーズン、そして最も難しいタイトルの防衛の事を考えていたら、あなたがすべき事はディナー会場で微笑む事ではなく、トレーニングに集中する事だって気がついたはずだもの。

 最後に一番大切なアドバイスを。良いスポーツ心療師を見つけて頼りなさい。あぁ、その時それに気がついていたら!
  あなたはトレーニングでも、レースでも、そして人生でも大きな浮き沈みを体験するわ。どれひとつとしてあなたの思い通りにはならない。あなたはいつも思うの。「私はいったいなにをしているんだろう?」って。あなたには話せる相手が必要。それはコーチじゃない。誰でもいい、あなたのモチベーションを高めてくれて、あなたが本当に必要としているものを思い出させてくれる人が。

  今の私のこんな繰り言をスパッと解決する方法を思いついた!タイム・トラベルよ!ドクター・フーのタイムマシンをすぐに借りてきて。そして2014年にいらっしゃい。じっくり話したいわ。

  問題は解決ね。
  幸せになって。
  愛を込めて。

  マンディより

  xx(kiss)





現在の彼女のチームハウスの写真