2014年7月26日土曜日
大佐からの手紙 2014年07月25日 ベルジュラックにて
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Aux Champs-Elysees, aux Champs-Elysees
Au soleil, sous la pluie, a midi ou a minuit,
Il y a tout ce que vous voulez aux Champs-Elysees
♪♪♪
親愛なるヴィンツェンツォ
大佐である。
今回は趣向を変えてヴォイス・メールにしてみた。
私の歌う「オー・シャンゼリゼ」で目覚めた気分はどうかね?
まるでシャンゼリゼまで乙女が蒔く薔薇の花で敷き詰められたような心持ちであろう?
昨夜のオタカムでの勝利、おめでとう。
本来ならディナーを同席し、君の素晴らしい栄光を称えなけれならぬところを欠席してすまなかった。
カザフにある私の執務室を急遽、リノベーションする必要が出てね。
知っての通り、軍属というのは地球最古の官僚組織だ。それゆえ非効率の弊害も出る。
私がもっとも忌み嫌うものは、汚らわしいヌテラと効率の悪い無能な部下だ。
(失礼、ヌテラはイタリア人にとって大切なものである事は承知している。これは個人の嗜好の違いとして容赦してくれたまえ。)
私の執務室には毎朝3人の秘書官が報告に訪れる。アーリーバードと呼ばれるこの任務は、アスタナ輪闘軍属の中では栄えある任務とされるが、たまに眼を覆いたくなるような無能な部下がこの任務にあたる事がある。
部下の無能な報告を聞く時間など私にはない。従って、私が指を鳴らすと、その部下の立っている床が開き、無能な部下は地下牢のワニの餌となるのだ。
案ずる事はない、ヴィンツェンツォ。
落とすのは無能な部下であって、私の親友、そして至宝である君を如何様にしてワニなどの餌にさせるだろうか?
よしんば、君がシャンゼリゼ手間で急失速するような愚かな過ちをおかしてさえもだ。
失敗した君が落ちるのはワニの待つ地下牢ではない。
せいぜい私の寝所だろう。
安心して心安らかにパリを目指したまえ。
愛を込めて。
アスタナ東方第一等殲滅輪闘集団
アレクサンドル・ヴィノクロフ大佐
2014/07/24日 7:25 ベルジュラックから旅立つMi-24ハインドの機上にて。