2014年7月25日金曜日

大佐からの手紙 2014年07月24日 オタカムにて

親愛なるヴィンツェンツォ



大佐である。
今ツールにおける君の活躍、その粛然たる輝きに称える言葉が見つからない。
私と君が文通を始めて半年になる。
この春先、君を想うあまり幾分と不躾な論評の文章を添えた事を許してくれたまえ。
クリス、アルベルトという強力な宿敵(ライバル)を失った事が君の慢心を呼ぶかと危惧していたが、私の懸念だったようだ。

君は最高の輪闘士、そして最高の私の友だ、ヴィンツェンツォ。
いてもたってもいられなくなった私は、昨夜の内に空軍のアントノフを飛ばし、今、今日のゴールのオタカムの山頂で君を待っている。
先頭でオタカムの山を駆け上り、どうかこの大佐の抱擁と、心からの謝罪を受け入れてくれたまえ。

立ち上る朝焼けの千切れ雲を目を細めて長めながら、今、この手紙をしたためている。

愛を込めて。


アスタナ東方第一等殲滅輪闘集団
アレクサンドル・ヴィノクロフ大佐


p.s.

妻と娘のエマと離れて心寂しく心配な事であろう。
案ずるな。
自宅に私の私的輪闘士20名を送り込んで、常時2人の様子は把握している。
妻と娘の健やかな笑顔にはやく会いたいであろう?
シャンゼリゼまでが君の戦場だという事を忘れないでくれたまえ。

2014/07/24日 5:21分 オタカム山頂にて